管理栄養士のりーです。
先日,、 SNS で痛風お持ちの方からご質問頂きました。
『どのような食事療法をすれば良いのか?』というご質問があったので、最新のガイドラインに基づいて痛風への対処法を回答していきたいと思います。
※記載内容はあくまでも一般的な内容です。まずは病院の受診をおすすめします。もちろん場合によってはお薬も必要になるかと思います。
※個々の状況に合わせて医師や管理栄養士にご相談の上、ご対応頂きますようよろしくお願いいたします。
痛風・高尿酸血症とは
そもそも痛風・高尿酸血症とは生活習慣病のひとつです。
痛風は贅沢病などと言われ、なじみがある方も多いかもしれません。逆に高尿酸血症という漢字5文字はなんだか医学的で難しそうですが、簡単に言えば『尿酸値が高い状態』という意味です。尿酸値が高くなると痛風になるということなので、一般的にまとめて表記されています。
尿酸値が上がる原因は
⓵体の中でプリン体がたくさん作られること
②体の外にプリン体を出す量が少ないこと
③プリン体の多い食事やアルコールや果糖の摂取量が多い
の3つです。
また肥満やメタボリックシンドロームは高尿酸血症と密接な関係があり、食事のコントロールと運動は肥満防止を通じて痛風の治療に有効であると考えられています。
それではひとつずつについて紹介していきたいと思います。
治療法
食事療法
まずは1つめは食事療法です。
BMIと体脂肪率
BMI や体脂肪率が上昇すると、尿酸値が高くなると言われています。肥満を解消するには適切なエネルギーの摂取が必要です。これは高尿酸血症だけではなく生活習慣病全てに当てはまります。
適切なエネルギー量は動く量によって異なり計算方法は以下の通りです。
標準体重×身体活動レベル
これだけだと分かりにくいので詳しく説明します。
標準体重というのは
【身長(m)の2乗×22】
で求められます。
例えば身長が150cmの人であれば1.5×1.5×22=49.5㎏となります。
また身体活動レベルは以下の3段階に分かれます。
⓵生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
②座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
③移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
となります。
ちょっとややこしいので一言にまとめてみました。
⓵デスクワーク
②立ち仕事
③力仕事
ぐらいのイメージです。
それぞれの段階は
⓵25~30kcal
②30~35kcal
③35kcal
を身体活動レベルとして計算します。
先ほどの身長150センチの人が力仕事だった場合、
49.5(㎏)×35(kcal)=1732.5(kcal)
となり、目安の必要量は1732.5kcalとなります。
プリン体の摂取量
肉や魚などプリン体を含む食材をたくさん摂取すると、尿酸値は上がり痛風発作のリスクが高まります。そのためプリン体の1日の摂取量は400mg程度が推奨されています。
プリン体を多く含む食品は、 レバー類(210~320mg/100g)、白子(300mg/100g)、一部の魚介類 エビ、イワシ、カツオ(210~270mg/100g)が上げられます。
食材中の濃度が高くても少量に抑えたり、プリン体が溶け出した汁を飲まなければ摂取量は抑えることができます。
逆に、ビールはプリン体の濃度は低いですが、摂取量が多ければ影響が大きいです。最近はプリン体を抑えた商品などもあるので、上手に活用できれば良いですね。
お酒
アルコールの摂取量が多いほど痛風の発症のリスクが高まります。アルコールは肝臓で代謝されますが、それにより尿酸値を上げると言われています。
またアルコール飲料に含まれるプリン体の影響もあります。ビールに含まれる酵母や麦芽にはプリン体が含まれています。そのため、蒸留酒や赤ワインよりも血清尿酸値を上昇させます。
アルコール飲料の中でビールが最も痛風のリスクを高めるので特に注意が必要です。
もちろんお酒を飲まないことが肥満予防や痛風予防となりますが、飲む場合は1日の目安量を意識するようにしましょう。
・日本酒 一合
・ビール メーカーによって350~500ml
・ウイスキー 60ml
尿酸代謝に影響するもの
果糖・砂糖
果糖は尿酸値を上げる働きがあります。
『じゃあ果物を食べなければ良いのかな?』となりますがそういうわけではありません。
果糖は砂糖(ショ糖)の一部分なので、砂糖を摂りすぎると果糖を摂りすぎることになります。
砂糖の過剰摂取は痛風のリスクとなるため、甘味飲料や果物ジュースは控え、果物は適量をに留めることが勧められています。
コーヒー・ビタミン C・ 乳製品(特に低脂肪のもの)・食物繊維
逆に、コーヒー、ビタミン C、 乳製品(特に低脂肪のもの)、食物繊維は痛風のリスクを低減すると言われています。
ただし、これらはまだまだエビデンスが乏しいようです。良いからと言ってこれらも摂りすぎると別の問題が起きるかもしれません。
クエン酸・水
痛風の合併症である尿路結石の予防には、尿のアルカリ化と飲水が有効であると言われています。
・クエン酸などの有機酸を含む食材
・1日の尿の量が2L 以上を保つことができる量の水
を摂取できると良いですね。
有機酸はお酢や果物に含まれています。果物は前述のとおり食べ過ぎると逆効果になるので注意が必要です。
尿の量を測定するのはなかなか難しいですが、濃い黄色などになってしまったりいつもよりお手洗いの回数が少ない場合には水が足りていないのかもしれません。
ただし腎臓に病気のある方については、水分の量をを慎重に決めてください。主治医から引水制限がある場合もあるので必ず確認しておきましょう。
運動
運動は肥満を解消し尿酸値を下げることが期待されます。その反面、激しい運動では尿酸値が上がると言われています。そのためおすすめの運動は有酸素運動です。
具体的には、ジョギング・サイクリングなどで脈拍が少し早くなる程度のものがおすすめです。
少なくとも1回10分以上の運動を30分以上60分程度行うことが勧められています。
ただし関節の負担によって痛風を誘発する可能性があるので、運動の強さは慎重に決めていきましょう。
また汗をかくので、運動前後に適切な水分摂取を忘れずに行いましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。私が担当した方の中にも、病院に行かず市販の痛み止めなどを使っている方もいらっしゃるようでした。痛風から腎臓病を合併するなど、深刻な状態になる可能性もあるので出来るだけ早い段階で改善できると良いですね。
今回は最新のガイドラインに基づき、出来る限り分かりやすく紹介させていただきました。
もしご不明な点、ご質問などありましたらお気軽にご連絡ください。
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